雑観

自分のやりたいことは何だろう?

就活の時に散々考えたはずなのだが、

最近よく考える。

今、高校生のことからなりたかった職に就くことが出来た。

今の仕事がそんなに嫌なのかというと、少し違う。私は、今の宙ぶらりんな状況が苦手なのだ。何をしたらいいのかわからない。焦燥感だけがある。

来語を喋れるようになる。それだけだ。

前職は楽しかった。一年目に配属された資金課では、口座の入金額を合わせることに奔走していた。あんなに向かない仕事は無かったと思う。しかし、どういうわけかそのことはあまり記憶にない。上司が与えてくれた仕事、不動産の購入交渉、海外M&Aの調査、海外法人の立ち上げプロジェクト、海外の休眠法人の税務対応など。本当に良い上司に恵まれて幸せであった。私の記憶は幸せなつくりなのか、つらかったことの記憶はあまりない。充実したことばかり記憶にある。

 

雑観

以国に到着し、早一か月が経ってしまった。いまだに来語はあまり喋ることが出来ない。妻は今月初めに蘇国へ一時帰国してしまい、大変寂しい。9月の中頃に帰ってくるので、それまでにはもっと来語を高めておきたい。

 

生活の場としての以国、好感の揺らぎ

最近思うことを白状すると、ここ以国に対する好感情を失いつつあるかもしれない。自分は、どんな国でも数年であれば滞在を楽しめると思っていたし、だからこそ今の職を選んだわけだが、今そのかつての確信は揺らいでしまっている。

 

例えば南洋のPGやアフリカの哀国のようなある種ハードルの高い国であっても、自分はそこでの生活を謳歌できると思ったし、ましてや以国などは経合組織加盟国であり今や押しも押されぬ「先進国」であって、満足するに違いないと思っていたのだった。

 

思えば、今回の滞在は私自身、人生で初めての長期海外生活だ。子供のころから海外の事物や文化、英語を殊更に好んでいたものの、あまり海外経験は無い。大学にいたころも、留学したいと思い続けてはいたものの、ついぞ留学することはなかった。

当時の私は、すでに浪人と留年で遅れた卒業をこれ以上遅らせることはできないと思っていたし、ぎりぎりの単位や資金面の懸念を理由に「今の自分にはできない」と自身に言い聞かせていた。今になって思えば、たとえ一か月や2週間などのごく短期であっても留学すること自体はできた思う。結局自らの怠惰がなせる業だ。

 

私のこれまでの海外経験で最長であったのは、3週間ほどのアメリカへの一人旅だ。前職のメーカーに入社する前に「自由に時間をとって海外旅行できるのは、これが最後かもしれない」と思い旅に出たのであった。カリフォルニア、テキサス、ニューヨークに1週間ずつ滞在したが、その際にはそれぞれ1週間しか滞在ないわけであるし、「もっとここに居たい」と思った。とりわけテキサス州が思い出深い。ヒューストンは綺麗で、「ここに住みたい」と思ったことを覚えている。

 

翻って以国である。初めにTLVに数日滞在したのち、聖都へ移ってきた。妻と一緒に安宿暮らしを続け、ようやく見つけたアパートに、いよいよ明日入居する段である。

 

聖都も悪い街ではない。いい街だと思う。ただ、2週間程度滞在するのにはいいと思うが、2年も住みたいとは正直思わない。日本の方が良い。神戸の方が良いし、板橋区の方が良い。以国も悪い国ではない。旅行で訪れるには本当に面白い国だと思うし、おすすめできる国だ。しかし、生活しやすいかというと、そうではない。

 

何が生活を困難たらしめているかというと、これは一にも二にも物価である。以国のインフレは留まることをしらない。当地の通貨、「謝」は本日現在【1謝=40.83円】となっている。大学で出会った日本人女性は、「3年前に来以した際は、1謝が30円程度だった」言っていた。インフレに加えて現在の歴史的な円安も、経済的な困難に追い討ちを掛けている。

 

ここでの体感物価は日本円換算で、日本の2~3倍程度である。今はまだ仮宿住まいで自炊が出来ず、外食に頼らざるを得ないという点はあるものの、レストランで食事をしようと思うと、50謝(2000円強)は最低でも必要だ。チェーンの(以国基準で)安いレストランで、最も安いパスタを頼んでもそのくらいはかかる。スーパーで350mlの缶コーラを買うと、8謝(320円)だ。

 

とはいえ、物価高は先進国共通の悩みだと思う。妻は、この国の物価はロンドンよりも高いと言っていたが。

これが例えば、ロンドンであったりヒューストンやニューヨークであったり、より洗練された都市、もっと言えば自分が気に入る場所であるのであれば良い。問題は、斯様に高騰した物価を受け入れられるほど、生活の場としての聖都を気に入ることが出来ていないということだ。